2017年2月4日土曜日

ときめくモノも処分して……

一度、ちいさな家に越したことがあって
そのとき、かなりのモノを処分した。
その際、参考にしたのが
こんまりさんの、『人生がときめく片づけの魔法』だ。
手に取って、ときめかないものは処分するというもの。
洋服も、家電も、思い出の品も、
けっこう捨てた。

それでも捨てなかったモノと
そのあと増えたモノがいまの家にはある。

ずっと気に入って、着ていたコートもそのひとつだ。
リミフゥの総ニットのロングコートで、
前にボタンとかなくて、巨大なストールピンで止めるだけ。
マフラーがコートにくっついたような、
襟が襟巻きにできるデザインで、
足首まであった長さを、膝下くらいにお直しして、
15年は着たと思う。

だいたい1月とか、とーっても寒くなった時期に着る用で、
着ればいつも、
「かわいいねぇ。えっ、マフラーがついてるの? 
いいなぁ、かわいい」と言われるものだから、
ますます気に入って着ていた。

去年の寒かったある日のことだ。
よっこらしょ、と着て、
職場に向かう表参道の上り坂をのぼっていたら、
重かった。重くて、重くて、疲れた。
年をとると、おしゃれもできなくなるのか、と
体力の低下を嘆いたけれど、
去年はそのままクローゼットにしまい、今年の冬がやってきた。

今年、着ようという気持ちが起きなかった。
だって、重いんだもの。疲れるんだもの。
少し、悲しかった。
見れば、いまでもときめくし、
ためしに家で着てみると、やっぱりいいな、と思う。
それでもこれを着て、街を闊歩できないな、と思う。

だから、捨てることにした。
厳密に言うと、まだ捨てていない。
捨てることにしただけだ。
たぶん、今度の繊維のごみの日に、
捨てると思う。

断捨離ってこういうことか、とはじめてわかった気がする。
モノを捨てることを通して、
若かったわたしとお別れすること。
かつて、あの重いコートを着て
ヒールをかつかつ言わせて歩いていた自分と
いまの自分はちがうと受け入れること。

年齢を重ねて、重いコートはもう着られないけれど、
あたらしいわたしを迎え入れよう。
軽いコートを着て、ぺたんこ靴で、
これからどこに行こうか。
古いものを捨てれば、あたらしいものが入ってくると
いうではないか。
どんなものが入ってくるのか、
たのしみにしたいと思う。


0 件のコメント:

コメントを投稿