2017年4月27日木曜日

マルセイユのゴミ事情

家を交換するにあたって、ひとつ面倒だな、と思っていたのが
ゴミ捨てでした。
ホテルなどの宿泊施設でしたら、
いつだってゴミ箱に入れておけば、
きれいに片付けてくれます。

でも家だと、捨てる種類や曜日が決まっていたりして、
帰国する日に、ゴミが家に残ってしまうのが、
すごく嫌だったんです。

でも杞憂でした。

お迎えに来てくれたニコラさんに、
ゴミの捨て方を聞くと、
全部いっしょくたにして、いつ捨ててもいいのだと。

曜日は決まっていないの?
分類は?

と聞くと、決まっているけれど
集める側が、全部いっしょくたに集めるから
捨てるほうも、全部いっしょくたでいいし、
夜の19時半以降に捨ててくれ、と
言われているけれど、
別に昼間すてたところで、だれも何も言わない。

だいいち、2週間ほど続いたストライキがようやく終わったところで、
ついこのあいだまで、ゴミがほら、あふれていたんだから、と。

窓から下をのぞくと、
道路に大きな茶色や緑色のゴミ箱が設置してあって
そこに、ぽいって捨てればいい。
空いてるやつに、入れればいいから、って。

ふぅ。
これにはひと安心。

そして生活がはじまると、なおのこと、よかったぁ、と思いました。

なぜって?
トイレがね、流れがとーっても悪くて、
トイレットペーパーが流せなかったんです。
アジアだとそういう国ありますけどね。
フランスも建物が古いから、
(ゆうに100年超え)
配水管も日本のようにはいかないのですね。
トイレットペーパーも日本のようには
質がよくないというか、ごわごわの厚厚で。

仕方なく、用を足してトイレットペーパーを使ったら
袋に入れて捨てに行く、というのを
くり返しておりました。

フランスでも都市によっては、ゴミ事情変わるかもしれませんが、
マルセイユは道路にゴミが溢れているのもよく見ましたし、
漁っているひとも、よく見かけました。

2017年4月26日水曜日

フランスの街歩きについて

むかし、まだインターネットのなかったころは、
ガイドブックを数冊もち、ツーリストインフォメーションでも地図をもらって
ぐるぐる回しながら、街を歩いたものです。

いまでは、スマートフォンさえあれば、
グーグル・マップ様のおかげで、地図いらず、ですよね。

インターネットにつながっていなくても
オフラインでも使えるようにダウンロードしておくことによって、
地図が開けますし、自分の位置もわかるので、街歩きにとても役立ちます。

グーグル・マップ、オフライン、ダウンロード
などで検索して、ダウンロード法がくわしく紹介されているサイトを
ぜひご覧ください。

ただし注意事項としまして……
マルセイユでは、最新版のiPhoneをもちながら歩いていたりすると、
かっぱらわれるよ、と現地在住の日本人からもフランス人からも言われました。。。
電話をかけながら歩いていて、かっぱらわれ、
手首を骨折した知人がいるよ、と。

そんなことを聞いていたので、おちおちグーグル・マップを見ながら
歩くこともできず、すごーく警戒しながらでしたので
地図はできるだけ頭のなかに入れて、行動することになりました。

どうしても、自分の位置がわからなくなったり
目的地まであとどのくらいか知りたいときだけ、
さっとバッグからとりだして、さっと見て、すぐにしまう。
そんな感じでした。

もちろん、テーブルの上に置きっぱなしなんて、
盗んでちょうだい、と言っているようなものなので、要注意です。

もっと田舎は、のんびりしているので
パリやマルセイユなどの大都市限定だとは思いますが、
ひとが多いところは、どろぼうも多い、
そしてさっと盗まれる以外に、手にもっていても
かっぱらいに遭うこともある、と心得ておくと良さそうです。

2017年4月25日火曜日

フランスの鉄道について

マルセイユから無事に帰国いたしました。

忘れないうちに、これからフランス旅行を考えてらっしゃる方に
ちょこっと情報共有です。

まずは鉄道から。

今回は、マルセイユとパリ往復でTGVを
パリでは地下鉄を、
そのほかの街ではTERを、
マルセイユでは、メトロやバスも利用しました。

切符の買い方は、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
http://sjp.hateblo.jp/entry/France-railway

基本的には自動券売機で、英語モードにして買えば
問題ないと思います。
さすが観光大国だけあって、全くフランス語ができなくても
券の購入も、乗り換えもちっとも難しくありません。

ちいさな駅では、これじゃないタイプの券売機で英語モードを選べず、
さらには駅員もいなかったので、少々焦りましたが、大丈夫でした。

ロクブリュヌ・カップ・マルタンの駅の券売機。丸いのを回して、選択するタイプでした。


チケットは、普通列車でも時間をちゃんと選んで買うのですが
その時間の電車に乗れなくて、つぎの電車になってしまったときも、
問題ありませんでした。

ちなみに、時刻表はSNCFのアプリで見ていました。
http://www.sncf.com/en/passengers

これでTGVや普通列車のチケットが買えるのですが
日本発行のクレジットカードでは買えないらしく、
実際、わたしも入力を進めても、最後ではじかれる、という目に遭いました。
結局、Rail Europeの日本語サイトでTGVのみ、事前にチケットを購入。
1500円ほど手数料がとられるのが悔しいのですが、
TGVは時間が迫れば迫るほど、高くなるらしいので
旅の予定が早く決まっている方は、お早めに。

さて、切符を買ったら、黄色い打刻機で時刻を刻印しますが、
(TGVのe-チケットは打刻不要)
切符を買うだけで、けっこうなハードルなので
打刻、つい忘れがちです。
していないと検札が回って来たときに罰金がとられる、という話ですが、
これもわたしはだいじょうぶでした。
旅行者っぽかったからか、それともその駅員さんが大目に見てくれたのか……。

フランスはすごく遅れるから、と聞いていたので、
念のため、念のため、で早め早めに行動しましたが、
運が良かったのか、せいぜい5分程度の遅れでした。
あんまり早く着きすぎちゃって、1時間くらいぼーっと待つ羽目にもなったので
つぎにフランスに行くとしたら、それほど早めの行動はとらないと思います。

乗り換え時の注意事項としては、
「フランスの乗り換え、トリッキーすぎっ!」をお読みくださいませ。
このとき以外は、ちっとも難しくなかったです。


2017年4月20日木曜日

最後までお買い物♡

マルセイユ滞在16日目。

1日ゆっくりできるのは、きょうが最後。
朝からおしえてもらったビオ・マルシェへ。
マルセイユのビオ・マルシェは水曜日の午前中に、
Cours  Julien という、こじゃれたカフェが並ぶ
広場で開催されます。

平日の午前中ですから、
若いひとよりも、リタイアしたっぽい年配の方と、
ちいさなお子さんを連れたおかあさんが中心。


ビオ・マルシェで買ったもの。
やっぱりチーズはフレッシュタイプより
熟成したタイプのほうが好きかも。
























いろいろ細かく書いてあるけれど
よく読めないし、意味もわからないので
とりあえず前に並んでいるひとが買ったものと同じものを買う、という戦術で(笑)。
あしたにはもう帰国の途につく、というのに
激安のひつじややぎのフレッシュなチーズを
たくさん買い込んでしまいました。
あぁ、水曜日にマルセイユにいなかったのだから仕方ないけれど
もっと早くに来ておいて、果物を買いたかった。
そしてジャムをつくりたかった。
でももう時間がないので、仕方なく、ジャムをお買い上げ。
あと教えてもらったハチミツ屋さんで、
ハチミツとハンドクリーム、おばあちゃんへのお土産に
プロポリスののどスプレーも。
免疫を高めてくれますからね。

ハチミツは、1種類しかなかったから
それを求め、あとで翻訳アプリで見てみたら
クリ。
うーむ、クリのハチミツって、けっこうクセがあるんですよね。
香ばしすぎる、というか。まぁ、はっきり言うと、苦い。
でも食べてびっくり。
そう、買ってさっそく、お昼にシェーブルのフレッシュチーズと
食べたのですが、いままで食べたクリのハチミツは
なんだったんだ! と思うくらい、苦みがまったくなくて、
ふわーんと花の香りもある感じ。
知人いわく、いままで食べたハチミツの中でいちばん美味しくて
何瓶も消費している、というのが、よくわかりました。

お昼ごはんを食べたあとは、最後のパトロール。
アフリカの布をもう少し買いたかったのだけれど、
何軒か回っても、好きな模様を見つけられず。
いや、たぶんあるのよ。いい模様が。
でも見づらいの、とっても。
棚にぎゅっと押し込まれていて、
アフリカの布しか置いていないお店は
だいたい、仕立屋も兼ねているから、狭いし。
あとフランス語がね、もっと達者でこういう模様がほしい、と
ちゃんと言えれば、出してくれるのだろうけれど。

マルセイユはイスラム系とアフリカ系の移民の方が多くて、
まだ仕立てた服を着る文化が残っているみたい。
イスラム系の生地屋さんはたーくさんあるし、
アフリカ系の生地屋さんも、ちらほら。
お店の片隅では、女性たちがカタログに見入って
なにやら話していたりして、なんだかいいな、と思ったのでした。

次回来るまでの課題がまたひとつ、できました。

そして最後の竿儀のパトロールとして
おしゃれなMaison Empereur へ。
ここ、マルセイユにしかないのかしら?
パリや東京にないとしたら、そんなのヘン!と思うくらい
すべてがかわいく、素敵なんです。

ここでフランス製手編みのカゴをゲット。
うーむ、もうカードは使わない、と思っていたのに
ついうっかり、使ってしまいました。
でも色といい、大きさといい、良かったんですー。
買わないと、後悔する! という感じ。
それを持ったまま、ケーキを買いに行きましたら
まぁ、持ちやすいこと。
かごって、あけびのかごとかならともかく、
置いておくもので、外に持ち歩くものじゃない、と
思っていましたが、つくりがいいと、ちがうみたい。
ひじのところに見事にフィットして、水平も保てて、
マルシェ用ってこういうことねっ! と納得。

カゴ! 最高!





















それから残りのお土産を調達して、
いまは荷造りの真っ最中です。
日本に帰ったら、お仕事どうしようかなぁ、とか
そろそろ不安が首をもたげてきておりますが(笑)、
しばらくは戦利品を食べたり眺めたりしながら、
ゆっくりしたいなぁ、と思っています。

結局マルセイユでは、ケーキを6つも食べました。


2017年4月19日水曜日

おそろしい蚤の市のあと、コルビュジェでほっ!

マルセイユ滞在15日目。

もう少し買い付けがしたくて、
いろいろ調べたところ、
Marche aux Puces de Marseille
という名前(マルセイユ蚤の市)の
大きな建物があり、
ここには40店ほどのアンティーク店がある模様。

うーむ。
悩んだんです。
こちらではアンティークというと、
大型の家具などが多かったりして
露天みたいな感じじゃないと
持って帰れる大きさのものが少ない。

でももう少し買い付けしたい。

うーむ。
もうひとつ気がかりだったのが治安です。
マルセイユは治安が悪いと、
ずいぶん言われてから、こちらに来ました。
ほかの街に暮らすフランス人からも
だいじょうぶ? とやけに心配されたり。

おかげさまで、怖い思いをせずにここまでこられましたが、
それもこれも、なんだかんだ言って
港に近い、観光地にいるから。

でも郊外となると、話は別です。

悩んで、朝もぐずぐずしていたけれど、
結局、買い付けしたい気持ちが勝り、行くことに!

こういうとき、google mapさまさまですね。
行きたい先までの行き方を教えてくれるのですもの。
家からは、いちばん近いメトロ駅近くのバス停から
20分ほどで到着するらしい。
揺られること、30分くらいかかったかな。
Oddo Butineuse
がいちばん近いバス停なのに、なぜか間違えて
ひとつ手前で降りてしまい……。

あのね、やっぱり雰囲気としては、怖かったです。
なーんにもないの。
お店もなんにも。
古ぼけた(って、フランスだから、ぜんぶ古いのだけれど)
団地みたいなのと、道路。
それだけ。
ひとがいない、というだけで、ちょっと怖い思いをしますね。やっぱり。

で、蚤の市は、うーむ。
隔絶された上野のアメ横みたいで、
アンティーク部門は、やっぱり大きな家具が中心で
土日は120店ほどブロカントのお店も出るみたいだけど
きょうは火曜日ですから、ひとがだれもいなくて。

さっさとそこを出て、
いったんうちに帰り、あー、疲れた、などと
文句を言いながら、お昼ごはん。
なんか、気を張っていたせいか、ほんとうに疲れた。

そして、面倒くさかったけれど
コルビュジェのユニテ・ダビタシオン(シテ・ラデューズ)へ。
知人に、
行ってくるよ! 写真、楽しみにしててね!
なんて言ってしまった手前ね。

地下鉄とバスを乗り継いで、
ル・コルビュジェというバス停で降りて目の前!


どーんと目の前に。
50年以上前に建てられたとは思えないほど
おしゃれ。
























ここは、行ってよかったです。

かつては低所得者向けの団地だったそうですが、
現在は、高級住宅。
同じ郊外でも、蚤の市とはまったく違い、怖くない(笑)。
緑が多くて、そういえば、マルセイユで芝生の緑って
見てないなぁ、とか思ったり。
ゆっくり息ができる空間。

建物内は、玄関と3階のお店スペース、
それからテラスが見学できます。
お店スペースはスーパー、本屋、郵便局、レストラン
と本来はあるようですが、スーパーは工事中。
本屋さんで、かつて編集担当していた絵本作家さんのフランス語訳の
絵本を見つけたり、とこれまたうれしいことも。

50年以上経っても、まったくもって古びず、現役。
すっきりと美しく、この旅ではコルビュジェ巡りをしたようなものだけれど、
コルビュジェ、恐るべし! とリスペクトの念を新たにいたしました。
金・土は申し込みをすれば
ガイド付きツアーで中も見られるようです。

外観にも内観にも、あちこちに素敵なニュアンスが。





















何度も言いますが、夜が長いのよ。明るくて。
だからもう少しあそびたいのだけれど、
旅の疲れはMAXです。胃の疲れも。

午後2時過ぎには、港のほうに戻って来て、
アフリカの布や、
疲れをとるハーブティーをハーブ薬局で購入したり。
知人おすすめのケーキ屋さんでケーキを買い求め、
早々と家に引き上げて参りました。

このふたつ、とーっても美味しかった。
2つとも、いっぺんに食べてしまった。






















さて、帰国はあさっての午前の便です。
マルセイユをたのしめるのも、あした1日のみ。
あしたはビオ・マルシェへ行く予定です。

そろそろ旅の疲れが……

マルセイユ滞在14日目。

リル・シュル・ラ・ソルグでの疲れがどっと出て
ごろごろ。
少し荷造りしてごろごろ。
ぐっすり夕寝。
あわてて夕ごはんの買い出しに。

夜は眠れなくなって、2時ころまでごろごろ。

2017年4月17日月曜日

アンティークの街、リル・シュル・ラ・ソルグで大興奮!

マルセイユ滞在13日目。

乗り換えに失敗し、落ち込みながらも
Miramas で1時間半待機。
9時前には駅のカフェがあいたので
そこで朝食をとったり
おじいさんの優しさに触れたりしながら
さっそくリル・シュル・ラ・ソルグへ!

今度は間違わないように
同じ番線に違う電車が停まらないことも
電光掲示板で確認し、
さらには、乗るひとに行き先を確認!

そして着きました。

イースター中ということで
いつも以上に、盛大な骨董市。

運河沿い、そして
ミュニシパル・ゴーディエ公園内でも
テントを張ったお店がたくさん。


広々とした公園内に多数のアンティーク店が。


この日はミストラルと言われる
強い風が吹き、テントはゆらゆら揺れるし、
モノは飛ぶし、すべてが砂だらけのじゃりじゃりでしたが
もうサングラスも外して、
それはそれは熱心に、品定め。


お昼に食べたパエリア。砂だらけ。





















5時間以上、ずーっと歩き回って
とーってもいいお買い物ができました。

フランスでアンティークというと
大型の家具屋さんも多くて、
素敵なものがたくさん。
でも持って帰れないですからね。
陶器やアクセサリーを中心に選びました。
むかしあれほど見かけたカフェオレボウルを
まったく見なかったのは、
ここ何年か、日本人が買い漁った結果でしょうか。

フランス語を習いはじめて
はじめてのアンティークマーケット。
これは何?
どう使うの?
いつのもの?
など、簡単ではありますが
フランス語ができるのとできないのとでは、
これはいいっ!という自分自身の感覚への
信頼感がちがうものだなぁ、と
フランス語を習いはじめた過去の自分を
またまたほめてあげました。

肩が抜けるかと思うくらい
たくさん買ったつもりでしたが、
帰って来て広げてみると、そうでもなかったですね。

でも、かわいいモノはたくさんあっても
ほんとうに欲しいっ!と思うものはそれほどありません。
買える範囲で、欲しいと思えるものは
買えたかな、という印象。
それでも、もっと買ってくればよかった、とも(笑)。

今回の旅で買い付けたかわいこちゃんたちは
クラヌーラトゥーのショップサイトで
販売予定です。

フランスの乗り換え、トリッキーすぎっ! 

マルセイユ滞在13日目。

この旅の最大の目的のひとつ、
アンティークマーケットに行くため、
朝7時に家を出て、リル・シュル・ラ・ソルグに向かいました。

マルセイユからまっすぐ行ける電車もありましたが
それですと、到着が10時半くらい。
アンティークマーケットは9時頃からはじまりますから、
9時前には到着して、カフェなどで待機して、
はじまった瞬間から、ぐわーっとお買い物するぞ! と気合いを入れていたんです。

まずはマルセイユからMiramas へ。
よく、フランスの鉄道は遅れる、って聞いていたのですが、
わたしが滞在中は、運がいいのか、
ほとんど遅れることなく、しっかり運行しています。

乗り換え時間が20分ほどありましたら、
余裕で、つぎの電車へ。
フランスでは、切符売り場付近にある電光掲示板で
自分の乗りたい電車が停まるプラットフォームを確認し、
そちらに向かいます。

voieと書いてあるのが、何番線、という意味で、
voie Dとあったので、D番線へ。
そしてD番線でも、電光掲示板が出ていて、
この番線から出る電車の行き先が表示されています。

年のためチェックして、
よしよし、大丈夫、と車内へ。

入ったとたん、すぐ近くに乗っていたおじさんが、
大きな声で話しかけてきたんです。
(やだ、酔っぱらい?)
と思って、フランス語は全くわかりません、という顔をして
ちがう車両に乗ったのですが、
そのおじさん、ついてきちゃいました。

それで、
自分の名前は◯◯だ、
Portなんとかに住んでいる、
きみはどこから来たの? 
かわいいねぇ、
マルセイユには行った?
すごくいい街だよ、
などと話しかけてきては、
へぇ〜い、とハイタッチしたがるんです。

車両にはほかに誰もおらず、
ひとをね、見た目で判断してはいけないと言うし、
たしかにそれが正しい態度だとは思うのだけれど……。
身なりもあんまりよくなくて、
歯が汚くて、
やたらボディタッチしてくる。
知らない国で、そういうひとを避けたいと思うのは
それが女性のひとり旅ならば、
そしてその日に限って、
アンティークマーケットに行くため、
けっこうな大金を持っていたら
仕方ないですよね。

あんまり失礼な態度をとって、
怒らせてもよくないし、
(いやだ、怖い)
と思いながら、
「フランス語は話せません」
と英語で、くり返しました。

それでもそのおじさん、めげずに
どこの国から来たの?
ベトナム? 中国? カンボジア?
あ、日本でしょ? 日本だっ!
自分はね、アルジェリアなんだ。
いい国だよ、今度行くといいよ。
と話しかけてくるんです。
そしてまた手を握ってくる。
冷たくて、かさかさした手でした。

そのとき、車内アナウンスが。
この電車の行き先は、とつぎつぎに駅名が
告げられるなかに、
マルセイユ・サン・シャルルがあるではありませんか!

えっ? とびっくりして、
目の前のおじさんに、
「つぎの停車駅は、どこ?」
と突然フランス語で訊きました。
おじさん、ちょっととまどいながら、
Istres、と。
なにっ? 行き先間違ってる!
うそぅ、そんなはずない、と思いながら
慌ててホームに降りて、駅員さんがいたので
チケットを見せながら、
この電車でいい?
と訊くと、
「ううん、ちがうよ。あっち」
言われた先を見ると、同じD番線に
もうひとつ電車が。

あわてて走ろうとしましたが、
「あぁ、行っちゃったねぇ〜」
と駅員さん。

そんなぁぁぁ、こんなことってある?
同じ番線に、向こう行きと、こっち行きの電車が
同じ時間に停まっていたのでした。
それにしても、ちゃんと電車近くの電光掲示板まで
確認したのに……。

「次の電車は、いつ?」
わたしのフランス語、ほんとうに拙いので
まったくもって失礼な感じで悪いのですが
携帯で調べてくれて、
つぎは1時間半後、と。

あーあ、もうっ、と
ジェスチャーと日本語で、
駅員さんはまったく悪くないのに、
嘆いてしまいました。

お礼も言わずに、待合室に向かったけれど
なんだか申し訳なかったな。

あのおじさんがいなかったら
あれ、おかしいな、と思っても
そのまま乗っちゃってたかも。
だって、その電車、わたしとあのおじさんしか
乗っていなかったんだもの。

ヘンなおじさんだったのかどうかも、わからない。
もしかしたら、ただ話したかっただけなのかも。
おじさんが住んでいるという
Portなんとかは、きっとPort de Boucで
Miramas からはマルセイユ方面に4つ戻った駅でした。

2017年4月16日日曜日

ル・トロネ修道院で、静かな時間

南フランスには、アルルのサン・トロフィーム教会や
エクス・アン・プロヴァンスのサン・ソヴール大聖堂の回廊をはじめ、
中世の中期、12世紀ころに建てられた、
ロマネスク様式の建築物が、けっこう残っている。

マルセイユに来る前に、
友人と編集している[ucauca]vol.2の取材でお世話になった
美術史家の金沢百枝さんの著書を拝読し、
ロマネスク様式の建築物が見てみたい! と強く思った。

中でも、コルビュジェがラ・トゥーレット修道院を
建築する際、多大な影響を受けたとして有名な
シトー派の修道院、ル・トロネに妙に惹かれた。


修道院への道。荘厳な雰囲気が漂う。






















バスでも行けるようだが、
エクス・アン・プロヴァンスからのエクスカーションツアーに参加。
なんとたった2名という贅沢なツアーだった。
同行者は、学生さんだったのかな、
コルビュジェの建築を追っていると言う。

ル・トロネ修道院は、シトー派の修道院。
装飾が極限まで排除され、入り口も窓もとてもちいさくて、
午前中の見学だっため、東からの光が淡く差し込む、
すべてが静かな空間だった。
1000年以上前のひとびとの息づかいまで
感じられるような、濃密な時間を過ごしました。

ル・トロネ修道院内の聖母子像。なんかかわいい。





















そのあとは、連れられるままに、
マグダラのマリアの聖骨が納められていると言われる
サン・マクシマン教会と、
マリアが晩年の30年、隠士生活を送ったと言われる
ラ・サント・ボームの洞窟へ。


洞窟へ向かう途中のキリスト像。





















こういうとき、もっとちゃんとキリスト教について
学んでおけば良かった、といつも思う。
絵画を見るにも、建築物を訪れるにも、
ヨーロッパを旅するときに、キリスト教の知識があるのとないのとでは、
感じられる幅が、違うのではないだろうか。

どちらも、敬虔な念が湧いて来たような気がしつつ、
実際には、森林浴気分の山登りがきついけれど
気持ち良かったな、という感想くらいしか持てずに、もどかしい。

洞窟内では、きちんとお祈りしているひとや
涙を流しているひとまでいた。

さて、あしたはこの旅いちばんの目的、
リル・シュル・ラ・ソルグで骨董探し。
ちょうどイースターの時期にあたり
フェア期間らしい。
きょう、ざっと鉄道の時刻を調べていたら、
ストライクをしていた!
あしたは、ちゃんと動いてくれるといいけれど……。

サン・マクシマン教会前のビストロでいただいた
ババ・オ・ラム。
とーっても美味しいお店でした。

2017年4月15日土曜日

コクトーの結婚の間に、うっとり

マルセイユ滞在11日目。

さて、マルセイユに戻るには4時間ほど
かかるので、マントンで1泊。
思っていたより、すぐに堪能できてしまったので
ロクブリュヌやマントンが
こんな感じ、と知っていたら、
ホテルはとらずにマルセイユに戻っていたことでしょう。

でもこの日は、1泊を予定していて良かった。
市庁舎にあるコクトーの結婚の間が、
なぜか、見られず。
理由をフランス語で話されるので、ちっともわからなかったのですが
とにかく明日来い、明日は見られる、と言うので
翌朝、8時半のオープンに合わせて再訪できたのは
1泊したおかげ!

市庁舎そばのカフェで朝食をとりましたら、
bioのコーヒーを出してくれるお店で、
クロワッサンとエスプレッソで2.5ユーロ!
安いし、美味しいし、雰囲気も素敵で、
こういうところが自宅近くにもあったら、毎日通ってしまいますね。


皮はパリッ、中はふわぁ〜。最高においしかった!






















さて、ジャン・コクトーの結婚の間の見学は、
朝8時半という時間のせいか、ひとり。
堪能。
日本語の解説もかけてくれて、
ようく内容がわかりました。

ここはね、ほんとうに1泊してでも見て正解。
というか、見なくちゃだめ。
なんでしょうね。この南の気候がそうさせるのか、
ちょっと原始的な雰囲気もありつつ、
エキゾチックな感じと、洗練と、
不思議さと明るさ、暗さが、
絶妙なバランスで調和している。
素晴らしい空間に身を浸すことができて、とても幸せな時間でした。


ハッピー一辺倒ではない、結婚の間。





















マントンからマルセイユに戻る途中には
モナコもニースもカンヌもサントロペもあるけれど、
なんだか疲れてしまって……。
当たり前ですよね。毎日出歩いていれば、
東京でも疲れます。
それが異国なんですもの。

明日からはまた旅のハイライトがふたつ待っているので
まっすぐマルセイユに戻って13時。
知人へのお土産を買ったり、
自炊をしたりしてのんびり。

そうそう、今回の滞在は自炊ができて、ほんとうに助かっています。
やっぱり量はさることながら、油の量もすごいですし、
どうしても外食先では野菜が不足しちゃうんですよね。
それをbio c'bonでオーガニック野菜をどっちゃり仕入れ、
スープにして、というのが、マルセイユ滞在での夜の定番となっています。

ある日の夕ごはん。ホタテとフェンネルのソテーとスープ。
バターがね、美味しいのっ! これはボルディエです。


マントンにて、コクトー、ビーチ、イタリアン

マルセイユ滞在10日目。

ロクブリュヌ・カップ・マルタンは
コルビュジェ以外、なにもなくて、
すぐにマントンへ電車で移動。数分です。

マントンはイタリアとの国境近くで
レモンで有名なんだとか。


マントンから帰っていただいたレモンジャム。
もっと買ってくればよかった! の美味しさ。
トラディショナルな甘いジャムです。
























それからもうひとつ、
ジャン・コクトーはマストです。

海沿いに立つ、ジャン・コクトー美術館は
ジプシーがメインテーマの展示だったようで
ユニークな作品群が、これでもか、と豪華に。

要塞美術館のほうは、
コクトーの美意識が細部にわたって感じられました。
「恋人たち」シリーズの陽気で妖艶な作品群は
マントンの強い日射しならでは、といった雰囲気。


まさに要塞。ここにはコクトーのちいさな素敵な作品群が。























街はね、もうイタリアです。
ピッツァリアとトラットリアばかりで、
フランス語とイタリア語、半々くらいの感じ。

ビーチが素晴らしくて、かなりゆっくりしてしまいました。
あぁ、やっぱり水着を持ってくれば良かった、とここでも。

旧市街もアンティーブ同様、こじんまりとしていて
でもどこかエキゾチックな雰囲気も。
コート・ダジュール地方に残る
もっとも美しいバロック建築の街並が残る、とガイドブック。

青い空と、オークル色というか、薄いレンガ色やピンク、
黄色のパステルカラーの家々。


どこを切り取っても、かわいらしい街並。






















正直なところ、観光地で、いかにもなレストランの食事の味って、
値段のわりにたかが知れているではありませんか。
でも夜が長いんですよ。
21時くらいまで明るいから、
早くにホテルに引き上げちゃうと、なんだかもったいない。
かといって、外は日が暮れはじめると
風は強いし、寒いっ!
だから、ついね。
お目当てのレストランは19時からしか
夜の営業をスタートしないことがわかり、
海の見えるイタリアンレストランで夜ごはんを
いただきました。味は、ね。
デザートのティラミスは美味しかったです。

海の見えるレストランも、
ひとりでは、ね。


コルビュジェの時代を先取りした小屋

マルセイユ滞在10日目。

滞在何日目、とか書きながら
マルセイユにいないけれど。

さて、アンティーブに1泊したのは
じつはこの日の朝、
アンティーブから、ニースもモナコも過ぎて、
1時間ほど電車で行った、
ロクブリュヌ・カップ・マルタンという村に
行くためなのでした。

ここには、建築家のコルビュジェが
妻のために建てた、ちいさなちいさな小屋があります。


コルビュジェの小屋の外観。
丸太作りに見えますが、半割にした木を貼っているそう。






















10年以上前でしょうか。
東京でコルビュジェの展覧会を見たときに
この小屋のことを知り、
いつか見てみたい、と思っていたのでした。
いつか、と思っていることって、
案外叶うものですね。

この一帯はガイド付きツアーでないと見学できないため、
HPから問い合わせ、
この日の10時から英語ツアーがあるよ、と返答をもらい予約。
9時すぎに着いてしまったため、付近を散策しようとしましたが、
なにもないんです。
30分くらい行けばビーチがあるようでしたが、
行って帰ってくるだけ、になってしまうので
待つこと1時間弱。

さて、10時になり、ようやくツアーがはじまりました!
駅から歩いて10分ほどでしょうか。
コルビュジェが建築した宿泊施設「ユニテ・ド・キャンピング」や
小屋に隣接するレストランなども合わせて、フランス語と英語で
じっくり1時間半ほど。

なにせ、敷地に入った瞬間、おぉ〜と声が出てしまうくらい
見晴らしがいいんです。
すぐ真下がビーチでね。
もう泳いでいるひとも。
コルビュジェは、けっきょくこの海で、
心臓発作で亡くなったんです。
でもすごくきれいな海で、きっと大好きだったんだろうな、ということが
見た瞬間にわかりました。


小屋の脇から海へのびる道。





















小屋は、大きさのわりに収納が多くて、
そんなに収納いるかね、という感じ。
キッチンがないかわりに、
となりのレストランに直接入れるドアがついているという
なんともチャーミングなつくり。
妻へのプレゼントだったようですが
ベッドの頭の真上にトイレがあって、不評だったとか(笑)。
たしかに、わたしもここでは寝たくないなぁ、と思いました。


頭の真上にトイレだよ。





















この小屋にしろ、宿泊施設にしろ、
夏や冬などのバカンスのために
田舎にちいさな家を建てて、というのは
いまでこそ、みんな憧れませんか。
でも、この小屋が建てられた1952年ころは
だれにもこういうコンセプトが理解されなかったそうで、
ほんとうはこういう宿泊施設を建てる予定は
ほかにもあったものの、わずか5軒程度で終了してしまったのだとか。

宿泊施設、「ユニテ・ド・キャンピング」には、
現在も、相続したファミリーがバカンスを過ごしに来ているそうです。
うらやましい!


外観もおしゃれ〜。





















自然豊かな環境で、ミニマムな家に暮らす。
わたしも夏の家として、いつか、どこかに持ちたいなぁ、と
夢がふくらみました。

アンティーブで、ピカソに怒(笑)

マルセイユ滞在9日目。

ヴァロリスからアンティーブにバスで戻ります。
こういうとき、だいたい行きより帰りのほうが
早く感じますよね。

ブラブラと旧市街を歩きながら、
ここでも、ピカソ!
芸術家も早くに名声を得て、しかも長生きをすると、
こう世界中あちこちに美術館ができるというわけで、
あぁ、やっぱりうらやましい限り(笑)。


アンティーブの街並。レンガ色がきれい。





















ピカソはアンティーブで
グリマルディ城というお城をアトリエに、
スペースにとらわれずに、ダイナミックな作品を生み出し
ここで制作した作品の大部分を「永久貸与」したのだとか。
現在、ピカソ美術館として、「生きる喜び」をはじめ
多彩な作品が展示されています。

「生きる喜び」には、ひとだけでなく
動物たちも描かれていて、そうそう、生きる喜びって、
こういうんだよねっ! とハッピーなオーラに包まれ、
じんわりと感動。


すごく感動したけれど、写真やハガキでは伝えきれないエネルギー。





















この美術館、ジャクリーヌや子どもたちとの写真がたーくさん。
ピカソは何度も結婚し、最後の妻だったジャクリーヌは
けっきょくピカソ亡き後、自殺。
ひとのエネルギーを食って生きるアーティストめっ! と
かつての自分の恋愛が思い出され、沸々とピカソに怒りが湧いてきて
笑ってしまいました。

海をのぞむテラスがまた素敵で、のんびりと青い海と空の境目を眺め、
風に吹かれます。


いい時間を過ごした美術館のテラス。





















さて、アンティーブには翌日に備えて1泊の予定。
その前に、旧市街をよーく散策。
こういうところのお土産屋さんって、
エキゾチックなもの、わたしの目にはインド風のもの、
が、けっこうありますよね。
そしてwifiを使いたくて入ったカフェは
期せずしてbioの食材を使ったココナツクッキーが美味しくて
店員さんもイケメン!

気分がよかったせいもあったけれど、
アンティーブ、こじんまりとしていて、
少しのこじゃれたものと、田舎っぽい素朴さと、
けっこうこの街、好きになりました!

陶芸の村で、ピカソを堪能

マルセイユ滞在9日目。
朝から鉄道でアンティーブという、カンヌとニースのあいだくらいにある
街に向かい、そこからさらにバスで、
ヴァロリスというちいさな街へ行きました。

ガイドブックにあるとおり、アンティーブから
Villa Chretien行きという8番のバスに乗ったものの、
降り先であるPlace de la liberationがいつまで経っても
バス内の電光掲示板に出てきません。

むむむっ、おかしい。
こんなときに頼りになるのはgoogle map様です。
オフラインでも使えるようにダウンロードしておきましたので
GPS機能で自分がいまどこにいるのかわかります。
地図を見てみると、あれれ、やっぱりヴァロリス、
そろそろ通り過ぎるところ??

「ici, a vallauris?(ここ、ヴァロリス?)」
と運転中の運転手さんに聞いてみると、
「oui, oui」とのことで、停留所でもないのに
バスを停めてくれて、ピカソ美術館はあっちだよ〜と方向を教えてくれました。

うぅ、やさしい。

そう、ヴァロリスはピカソが陶芸に目覚めた街として有名で
メインストリートのスタート地点に
いまは国立ピカソ美術館となっている
ヴァロリス城が君臨しています。

ピカソ美術館。城っていわれても、というたたずまい。
















ここには、ピカソが70歳の誕生日を、街の陶芸家たちが祝ってくれたお礼にと、
ピカソが礼拝堂に壁画「戦争と平和」を描きました。

ピカソはわたしがうらやましいと思う人物のひとり。
生まれ変わったら誰になりたい? と訊かれて、
ピカソと答えたくらいなのですから(笑)。

お昼ころ着いてしまったので、
(というか、ほんとうは11時半前には着いて、
午前に見て、お昼にはアンティーブに戻るつもりが、
バスが遅れたの。こういうとき、仕事じゃない、ただの旅行って
いいですよね!)
午後の開館時間となる14時まであと2時間ほど。
メインストリートは陶芸のお土産屋さんが並んでいます。
いかにもお土産! という感じの絵柄が並ぶなか、
1軒だけ、通りの終わりに、陶芸家の作品を集めたっぽいお店があり
そこで1つ、なかなかいいのを買い求めました。
いちごとか盛るのに、よさそう、と想像力がふくらみます。


陶芸の街として有名。ひとっこひとり、いませんでした。





















まだまだ時間はあるので、ランチをとりましたが、
ヨーロッパの食事って、量が多いから、
なんだかもたれてしまって……。
しかもテラス席に座ったら
暑くて暑くて、けっきょくノースリーブというか、
無印のブラトップ1枚というあられもない姿で
ランチをとりました。
が、近くにいたお姉さんたちも同じような格好ですからね。


暑い中、こういうのは、重すぎた……。






















そしてようやく14時、ヴァロリス城は
現在、3つの美術館が敷地内にありまして、
「戦争と平和」はもちろん素晴らしかったのですが
陶芸美術館にあるピカソの陶芸作品が、ね。
もう好きなひとは、必見です。
おぉ〜、かわいい〜。
とボキャブラリーのなさが恥ずかしいですが、
どれもこれも、素晴らしく愛らしく、エネルギーに満ちていて、
とっても幸せになりました。
ちょっとね、土偶っぽいところも、素敵でした。

ほぼひとりくらいで堪能したあとは、
またバスにてアンティーブへ。

2017年4月12日水曜日

フランス人アーティストとランチ

マルセイユ滞在8日目。
ようやく追いつきました。

さて、きのう約束したランチが1時から。
それまで、明日からの旅行の準備をしたり
お洗濯をしたり、とのんびり過ごしました。

じつは、東京のわがやのエアコンが壊れた、と連絡が。

寒いならば、予備のオイルヒーターがあるので
それを使ってもらえればいいのですが、
リウマチを患っているため、除湿したいと言うのです。

そのことは家を交換することが決まったときから
言われていたので、動作確認もしてからこちらへ来たのに
どうしたことでしょう。

とはいえ、エアコンを修理するには時間がかかるし、
除湿器をamazonでポチ。
翌日には届くのですから、つい利用してしまいます。
フランスでもamazonは翌日に届くのでしょうか。

階下の方に受け取りや設置をお願いして……
といったあれこれを、きのう、きょうと対応したため、
それもあって、ちょっと疲れ気味……。

午前中、ゆっくりできたのは良かったです。

そして1時。
食べに行くのかと思っていたので
それなりの準備をしておりると、なんと食事をつくって待っていてくれました!

わざわざごはんを炊いてくれていて、
黒い、長いお米で、ぷちぷちした歯触りがとてもおいしかったです。
あとは蒸したポワローと焼いたお豆腐。

あのね、お誘いくださったのは
ブノワさんっていう画家さんなんですが、
ベジタリアンなんですって。
だから、とーってもヘルシーな
自分でつくるよりも脂っ気のないランチ。
ポワローっていうんですかね、フランスのネギを蒸したのと、
豆腐を焼いたの、それから黒いお米をわざわざ炊いてくれて。
美味しかったんです。
美味しかったのだけれど、
あまりにもさーっぱりしていて、
家を出たあと、すぐにピザを食べてしまいました。

さて、いっしょにアトリエを使っている、ラノゥさんと
マルセイユの美味しいレストランへ行くといい場所なども
手書きで教えてくれたのですが、
クスクスとかピザとか、ベトナム料理とか……。
あれれ? マルセイユと言えば、魚じゃないの?
と訊くと、
マルセイユで魚の美味しいお店を探すのは難しいんだ。
港はないから、魚はよそから来るんだよ、と。
え、でも港あるでしょ? とさらに訊くと
あれはヨットハーバーだよ。少しくらい魚もあるけど、
漁港じゃないからね、とのこと。
ほんまかいな。
マルセイユといえば、ブイヤベース。
ブイヤベースと言えば、魚。
漁師町。と思ったいたのに、どうやら現地のひとからすると、違うようです。

そしておふたりや、アトリエの
きょうはヴァカンスでいないひとたちの作品などをゆっくり拝見。

ほら、日本でも子どもたちは春休みがありますでしょう?
でもおとなは、ないじゃないですか。
でもフランスは大人も休んで、ヴァカンスに出かけるんですって。
いいなぁ!

3時半過ぎ、英語がぼやーっとして
ちっとも頭に入らなくなって、
見せてもらっている作品への感想も、すご〜いと日本語で言うようになってしまい、
おいとまいたしました。

ちょっと疲れていたけれど、もったいない精神がむくむくと起き出し、
がんばって、観光へ。

プチトランで山の上にある聖堂へ。
静かな時間を過ごして、下界へ戻って来たのでした。


ノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ大聖堂。
荘厳な雰囲気。中には、海にまつわる絵がたくさん。






















夜はホワイトアスパラとアーティチョークという
春にフランスに来たらいつでも食べたい大好物をアイオリソースでいただき、
残っていたケーキも。


ホワイトアスパラガスはとても固いので、
すごくたくさん皮をむいてからいただきます。






















あしたからハードな、今回の旅の2大目的にくりだします!

長〜い昼寝からの、思わぬお誘い

さて、マルセイユにやってきて7日目。

2日間のパリ旅行がたたって、
ずいぶん疲れ果て、
マルセイユに詳しい知人に教えてもらった
おしゃれな雑貨店、MAISON EMPEREURで
爪切りなど細々したものを買い求めたり
(指の爪は切ってから日本を出たけれど、
足の爪を忘れていて、伸びて来たのが気になっていたのでした)
おしゃれな本屋さんで絵本を選んだり、
同じく知人おすすめのケーキ屋さん
SYLVAIN DEPUICHAFFRAYで
ケーキをふたつも買って、大満足して帰宅。


パリで求めたお皿に、ケーキをふたつ。
甘くて、一度では食べられなかった……。
日本のケーキとはさすがに違うわ。


本屋さんの看板猫。










































ところがですよ、ちょこっと昼寝というか、
横になるつもりが、3時から7時半まで爆睡。
ふつーに睡眠をとってしまいました。

とはいえ、まだまだ明るいので、
損した気分にならないのが、この季節のヨーロッパのいいところですね。

そしてぼーっと、ごはんでも食べるか、と
思っていると、コンコンとノックの音が。



ウィ?
と短く返事をすると、もにょもにょとした声が。

ここの住人の友だちだと言う。

あぁ、と思い当たりドアを開けると
男性が。

ここの住人であるアリアンヌさんから、
困ったことがあったら、階下はアーティストたちのアトリエになっていて
いいひとたちだから、声をかけてね、
お昼を食べたかったり、出かけたりしたかったら、言ってね、
みんないいひとたちだから、と言われていたのでした。

とはいえ、人見知りというか、
うーん、それほどことばが達者じゃないせいもあって、
悪いなぁ、と思ってしまうんですよね。
つまりは遠慮です。
遠慮して、ここに来てから一度もノックをしていなかったけれど
向こうから来てくれたのでした。

「マルセイユに友だちいないんでしょう? お昼でもどう?」
とのこと。
さっそく翌日のランチの約束。
わざわざ声をかけてくれるなんて、やさしいなぁ、と思いつつ、
英語も拙いし、ちょっとどきどき。
さてさて、どうなることやら?

パリって、好きだけど……

ジヴェルニーからパリに移動し、
マルセイユへ戻るTGVまで時間があったので
大好きなサン・ポールあたりを散歩。
骨董街があったりして、
10年以上前から、パリに行くとかならず寄っています。

いい感じのブロカントのお皿を買い求め、
ちょっとカフェでひとやすみ。

ミルフィーユとエスプレッソ。





















あのね、パリではいつも
どう言ったらいいのだろう。
嫌な目に遭います。

今回の嫌な目は……
会計を済ませたあと、
お手洗いを使わせてほしい、とギャルソンに言うと、
トイレはない、とすげなく断られました。

いやいや、わたしゃあ、さっきマダムが
トイレ、どこ? って訊いて
そこだよ、とあんたが答えたのを見たさ。
そこだろ、おい、そこだろ。
たしかにプライベートと書いてあるけどさ。
そのくらいのフランス語、わかるんですけどっ!

と、あとからはいくらでも出てくる悪態。
でもトイレはない、と
それも、とても嫌な感じで言われたその瞬間は
びっくりして、そしてすぐに
嫌な、悲しい感じが胸に広がって、
いっしゅん、呆然としてしまったのでした。

とぼとぼとカフェを出て、駅へと向かう途中で
ようやく怒りが湧いて来たけれど、遅いよね。

ひどく疲れて、マルセイユに戻って来たときには
すでにとっぷりと日が暮れていて、
日没後に外を歩くのは、この夜がはじめてでした。

モネの家に住みたい!

朝9時半から開くモネの家へ向けて、
9時過ぎにぶらぶらとB&Bを出発すると、
なんともうすでに列が!

モネの家は、噂どおり浮世絵だらけで
外国人がすーっと通り過ぎて行く部屋のいちいちが
わたしにはおもしろくて仕方なかった。
富嶽百景のような有名なものも飾ってあったけれど、
ざりがに柄の着物を着たおんなのひととか、
お風呂の三助さんのようすとか、
あんまり見たことがないような感じのものが
とても興味深くて、おもしろい。
そうそう、「なに、この素朴な絵?」と思ったら
尾形光琳のサインがしてあって、
ほ、ほう、と感心したり。




とーってもかわいいキッチンで、
きれいに額に入れられた浮世絵。

















浮世絵がとても大切そうに飾られていたのにひきかえ、
モネの絵のみならず、セザンヌやら、なにやら、
これでもかーっ、というくらい、そこいらへんに飾ってあって、
絵画好きには、たまらない空間でした。


モネのアトリエ。額にも入れられずに、ばばばーっと。





















あとね、お皿。
もう、ほんとうにすばらしい日本のアンティークのお皿が
こちらも浮世絵同様、棚にきちんと飾られていて
あぁ、とっても好きだったんだなぁ、と
親近感が沸くおうちでした。

あと庭ね、4月のあたま、シーズンははじまったばかりですよ。
それでもチューリップが見事に咲き誇っていて、
うわぁ、素晴らしいなぁ、と思うわけです。
でもね、これは一瞬だったな。
すぐに飽きてしまいました。
睡蓮の庭のほうは、まだ当然睡蓮は咲いておらず、
それでもこちらのほうが、人工色が少なくて、
飽きずに見ていられました。
趣味に合う、合わないといったこともあるかとは思いますが
わたしはつくられた美よりも、自然美のほうが
飽きずに、ずーっと見ていられるし、
はっとする美しさを感じるようです。


まだ睡蓮には早くても、自然の美しさ。





















あと、モネの家に行こうと思っているひとへアドバイス。
モネの家からわたしが出たのは10時半くらいだったと思うのだけれど
そのときには、もう入場制限がされていました。
団体さんも、たーくさんいて、
スペイン語とか、英語とか、中国語とか、いろいろ聞こえたから
世界中から来ているのでしょう。
できるだけ静かに見たいと思ったら、朝9時半には
もう並んでいるくらいの感じが良さそうですよ。

印象派美術館は、B&Bで朝食を食べていたときに話をした
中国からのひとり旅の女性が、
あんまりだったよ〜と話していたので、
だろうね〜と思って、パス。

ごはんでも食べようかと思ったけれど、
シーズン中にばんばか稼いで、あとは半年ものあいだオフ、という土地柄か、
高いの。高いけれど、あんまり美味しくない、ということが
簡単に予想できたので、さっさとパリに移動することにしたのでした。


2017年4月11日火曜日

ジヴェルニーで

原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』を読んだのは
2〜3年前だったか。
以来、モネの家があるというジヴェルニーに
機会があれば行ってみたい、と思うように。

ジヴェルニーには鉄道駅がなく
最寄り駅のヴェルノンまでさえも
パリから電車で小1時間。
イリスさんに会う予定や、あれこれを整理すると
ジヴェルニーに夜着いて、翌日の午前中に見学し
午後早い時間にパリに戻る予定を立てた。

ところが、だ。
ジヴェルニーと最寄りのヴェルノン間はシャトルバスが
走っているのだけれど、
通常、その日の早いうちに着いて、見学し
夕方には帰って行くひとが多いのだろう。
このシャトルバスが、わたしがヴェルノンに着く時間には
もう走っていない。
ジヴェルニーからの帰りのバスはあるのに、
行きのバスがもうないのだ。

困った。タクシーを利用するという手もあるけれど
ネットで検索したところ、タクシーはほぼないらしい。
泊まる予定のB&Bに急ぎメールしたが、
パリにいるあいだに連絡が取れず、ヴェルノンに着いてしまった。

B&Bに電話するか、でもほら、国際電話扱いになるでしょう?
高いし、ケチケチしているのにもったいないなぁ、と思ったときに
むこうにシャトルバスが見えた。
おっ! と走って行き、ジヴェルニーに行きたいと
拙いフランス語と、フランス語よりはできる英語で言ってみる。
先方は英語がわからないようで、
フランス語でなにやら返事をしてくれるのだけれど、
むこうの言っていることが理解できない。

けっきょく時刻表を渡されて、
そのバスは去ってしまった。

むむむ。

時刻表を見ると、帰りのバスがまた戻ってくる模様。
行きのバスはやっぱりないけれど、
つぎのバスの時刻の欄を指差していたから、
このバスに連れて行ってもらえ、ということか、と勝手に理解。

待つこと10分ほど。

来たー。

ひとがぞくぞくとおりて、空になったバスを点検している運転手に
ジヴェルニーに行きたいのだと
またまた拙いフランス語で主張する。
さっき近くで見ていたアフリカ系の女性が
なぜか加勢してくれて、
連れて行ってあげなさいよ、的なことを言ってくれている。ように聞こえた。

けっきょくこの運転手さん、
もう仕方ないなぁ、という感じで
わたしひとりをバスに乗せて、ジヴェルニーに連れて行ってくれたのだった。

バスからは美しい花が咲き誇る村のようすがよく見える。
きれいですね、いい街ですね、とフランス語で言うと
気を良くしたのか、いろいろと説明してくれた。フランス語で。

フランス語、まだちーっともできないけれど、
習いはじめていて、良かった。
えらいぞ、と過去のわたしをほめてあげたい気持ちになった。

シャトルバスで15分ほどで、無事にジヴェルニーの村に到着。

予約したB&Bはクロード・モネ通り沿いにあり、
モネの家からも近い。

19時頃だったけれど、まだまだじゅうぶんに明るく
暑いくらいなので、
ぶらぶらと村を散策してこの日は暮れたのだった。

ジヴェルニー村は、のどかでいいところでした。
冬は何もない、とB&Bのひとは話していましたが。
あ、そうそう。春から夏しか営業していないので
あとの半年は、バカンスなんですって。
半年働いて、半年休む。けっこううらやましい暮らしかも。


2017年4月10日月曜日

やっぱりパリが好き

元同僚とつくっているリトルプレス[ucauca]
(うかうかと読みます)の表紙は
縁あって、フランス人アーティストのイリス・デ・ムイさんに
描いていただいている。
彼女はエルメスなんかの仕事もするアーティストなのだけれど、
同世代ということもあるのか、わたしたちのリトルプレスに共感してくれて
手伝ってくれているのだ。

そんなわけで、ちょっくらパリに行って来た。
やっぱりパリはいいなぁ、と思う。
とくにお天気のいい季節は。
カフェでお茶をしているにぎわいも
木々の緑も。

今回のパリの収穫は
ル・マルシェ・デ・ザンファン・ルージュそばの本屋と
とってもかわいい女性のアクセサリー。
ささっと買い物を済まし、
予約してくれたお店へ。

vol.2の相談という名目で、おいしいタルタルステーキをごちそうになり
2号目のテーマでもあるエイジングについて
フランスと日本の違いや、共通点など、
興味深い話ができたのだった。
彼女は京都で暮らしていたことがあるから、
日本についてもよく知っていて、
そんな話ができるというわけ。



わたしはタルタル・ステーキを。
イリスさんはホワイトアスパラとホタテ。



そういえば、何が食べたい? と聞かれて
ステーキフリットと答えたわたしに、彼女は頭を悩ませたらしい。
おフランスでは、ステーキフリットはトラディショナルではあるけれど
シックじゃないらしく、シックな彼女はどちらかというと
野菜のほうが好きだから。
わたしも日本では肉なんてあんまり食べないけれど
パリは美味しいからさ、と言い訳してみたり。

マレ地区にほど近い店だったけれど
買い物にも観光にもかつてほどの情熱がないので
会合のあとはボン・マルシェにほどちかい
シャンテ・リーブルというお気に入りの本屋をゆっくり見て回り、
近くの教会で奇跡のメダルを求めたのだった。
わたしには奇跡が必要だけれど、
意外とどんな奇跡を必要としているのか、
明確なイメージって持てないものではないですか。
それがはっきりすると、もっと人生がいい感じになる気がしているのですが。


シャンテ・リーブルは子どもの本の専門店。
















夕方から電車でヴェルノンへ。
ヴェルノンはモネの家で有名なジヴェルニーという村の最寄り駅です。
ここでは、ちょっとしたトラブルが。
つづく。


2017年4月8日土曜日

島でのんびり、ゆったり時間

マルセイユで暮らしたことのあるひとが
口々に勧めるのは、お店でも港でもなくて、島だ。


マルセイユの港では、魚を売る市場が。



ガイドブックには、モンテ・クリスト伯で有名なイフ島しか
載っていないことも多いけれど、
勧められたのは、イフ島からフェリーでさらに10分ほどのフリウル島。

とにかく自然がそのまま残っていて、きれいなのだと言う。
4月ならば、もう泳げる日もあるから、ぜひとも水着を持って行け、と
しつこく言われたが、日本でも泳いだことなどないのだから、と
笑ってごまかした。

少し前まで、自然になんてちっとも興味がなかったけれど
年齢を重ねてからは、自然に触れる時間が疲れを癒してくれることを知った。
いつ行こうかなぁ、と思っていたけれど
すーっごく良くて、何度も行きたくなったときのために
早めに行くことにした。

マルセイユの港から出るフェリーは1時間に一本ほど。
さいしょにイフ島によって、かつて牢獄として使われていた
シャトー・イフを見学する。
おそろしかった。暗くて、案外広いところが、また恐ろしい。

フェリーから撮影したシャトー・イフ。
このあと上陸しましたが、うらさびしいところでした。


















早くフリウル島にむかうフェリーが来ないかな、と思うくらいで
よほど興味のあるひと以外は行かなくていいと思う。
そう思ったところで、知人からもイフ島は行かなくていいよ、と
言われたことを思い出した。

4月の平日に島へ向かうのなんて、観光客が
社会科見学らしき子どもたちくらい。
フェリーでにぎやかにフリウル島に到着。

あのね、案内板があるにはあるのだけれど、フランス語しか載っていないの。
だから、ビーチがどっちにあるのか、
そもそもこの島には何があるのか、わからない。

とりあえず、先を行くフランス人らしき年配のカップルに着いて行く。
そうしたら、突然ぱぁーっと入り江!
岩場が囲むように、青いきれいな海。
晩年のピカソみたいな風貌のおじいさんと、お連れ合いの女性が
なんと水着姿で日向ぼっこしているではありませんか。

あぁー、わたしもやっぱり水着を持ってくれば良かった、と
思ったものの、風が強いんです。
薄手のダウンを着たり、脱いだり、大忙し。

ほんの小さな入り江で、海水に手を浸したら、
ずいぶん冷たかったけれど、おじいさん、海に入って行った。

朝からおなかが空いていたので、
もう一度港のほうに戻って、レストランに。

魚を食べようと思っていたのに、
おねえさんの強力な推しと、フライドポテトにつられてお肉に。
まぁ、とーっても大きくて、
半分以上、残してしまいました。
美味しかったけれど、高かったし、
海の家のごはんが期待できないのと同様、
自分でサンドイッチでもつくって持って行ったほうが良かったな、と反省。


食べきれなかったお肉! 見た瞬間、わかったよ。





















店を出て、今度は裏に回ってみると、そこにも入り江が!
あちこちに、ちいさくてきれいな入り江がある島みたいで、
こっちでは、おばあさんと、少女と女性の中間くらいの
いちばんきれいなお年頃の女の子が、
やはり水着姿で日向ぼっこしていました。
おなかもいっぱいになったし、
わたしも寝そべって日向ぼっこしたり、
本を読んだり、きれいな石を拾ったり。
あぁ、やっぱり水着を持って行けば良かったな。


こういうきれいな海が家の近くにあるって、素敵。





















2時ころのフェリーでマルセイユに戻り、
午後は街の南西あたりを散策。
このあたりは、裁判所や県庁などもあって、
お店も高級店が軒を連ね、スタバなんかもあって、
カフェのテラスでは、
マダムたちがおしゃべりに花を咲かせていました。

高級なお店って、東京にもあるし
どこも似たり寄ったり。
わたしは下町っぽい街の東南側のほうが好みみたいです。

さっき鏡を見たら、すっかり日焼けしちゃったみたい。
なんとなく、皮膚がひりひりする感じも。
まったく40歳を過ぎて、いったい何をしているのでしょう。
でも入り江のビーチで寝そべっていた年配のひとたちの
真っ赤になった肌、なんだか幸せそうだったな、とも思うのです。

2017年4月7日金曜日

まじめに美術館など行ってみたり

朝起きて、きょうは何をしようかなぁ、と考える贅沢。
少し長めの滞在だからこそ、ですね。

今朝は、まだ着いて3日目だというのに、
少し静かなところに行きたくなって、
(滞在先がとても賑やかなエリアにあるせいかも)
マルセイユの街の東側、港とは反対側にある
ロンシャン宮に行きました。

トラムの路線をついていくように
歩くこと20〜30分。
Boulevard Longchampsの先に見えました!
左右対称のデザインは
マルセイユからほど近い
ニーム(デニム発祥の地ですね)出身の
建築家の手によるものなのだとか。


高台にあるロンシャン宮。彫刻が怖くて、きれい。

階段をあがって、上からマルセイユの港のほうを
見下ろします。
あのね、はっきりわかりました。
わたし、高所恐怖症でした……。
怖かった、とても高いし、
左右には、巨大な彫刻も。
大きなもののそばで、高いところにいる、
ということが怖くて怖くて、
すぐに階段を下り、ロンシャン宮後ろの公園へ。

とーっても広い公園で、
そばには子どもたちの遊具があって、
歓声を聞きながら、のんびりと読書。
あぁ〜、いい時間です。

ロンシャン宮の左右には
マルセイユ美術館と
自然史博物館が。
いまの時期のせいか、いつもなのか、
日射しは強くて暖かいのですが
とにかく風が強いんです。
少し外にいると、すぐ中に入りたくなってしまう。

美術館のほうは、プロヴァンス派といわれる
美術家の作品が多数、
でもね、ここも怖かった(笑)。
暗〜い巨大な部屋で、暗〜い絵を観るのですもの。

自然史博物館はプロヴァンスの動植物がうわ〜と展示されていて
おもしろかったです。
海に近いだけあって、海鳥と貝の展示が充実していました。


ボタンみたいでかわいい貝がらの標本。


ここまでで、まだ13時前。
Bio c'bonのあるCours Julienのほうへ買い出しに行こうと
ずーっと歩きました。
マルセイユは地下鉄もトラムもバスも充実していますが
道を覚えたり、いいお店を見つけたりするには
歩くのがいちばんです。

ただね、わたしはとーっても方向音痴です。
だから日本でもGoogle Map さまさま、なのですが
マルセイユ在住の知人からは、忠告が。
スマホなんて持ちながら歩いていると、
かっぱらわれるよ、と!
ふつうに電話をかけていても、ばっと盗られてしまうのだとか。
まだ着いて数日ですが、そんなに治安が悪い感じもないのですけれどね。

それでも警戒は必要です。
ところどころで立ち止まりながら、
さっと自分の居場所と行きたい方向を確認し、歩きます。
うっかり狭い道に入り込んでしまって、どきどきしたり。

方向音痴にとって、ヨーロッパがいいのは
いたるところに広場があることです。
目印にできるし、ちょっと休むこともできる。
ロンシャン宮からCours Julienに行く途中も
Place Jean Jauresが。
ちょっと地図を確認したい、くらいのつもりで行ったら
市が立っていました。
ついつい立ち寄って、ついつい真剣に見てしまいます。

かわいいインドとアフリカの生地が
驚きの安さで売られていて、即買い。
重かったけれど、いい買い物ができました。
洋服づくりも趣味なので、
日本に帰ってからのたのしみが、またひとつ。

それから目的のBio c'bonで日本では見たことのないものを
またまた買い込み、
さて、ごはんでも食べようか、と思いましたが
もう14時半を回っていて、ビストロのランチ営業はどこもfini.

ラ・リコルヌという素朴なマルセイユ石けんのお店で
またまたまたまた買い込み、
もう持てない、というくらいの荷物を抱えて
1ユーロのピザを立ち食いし、帰宅したのでした。

とにかく夜が明るくて長いので、
もっと出歩きたいのだけれど、足が……。
ちょっと荷物を置いて、また出かけるつもりが
うっかり夕寝まで。
目が覚めると、21時ですっかり日が暮れていました。
夜ごはんには玄米粉パスタにしたけれど、
全粒粉パスタと同じくらい、好きじゃなかったです。


ぽそぽそした玄米パスタ。
このあと、スープパスタにしたら、けっこう食べられました。

着いてからというもの、夜は9時ころ寝て、
朝は4時ころ目が覚めるという、
時差ぼけなのか、究極の健康的な生活なのか、
わからない数日を過ごしているけれど
きょうは夕寝しちゃったし、
夜寝られるかしらん。

街にも、ロンシャン宮にもいたキリン。なぜ?


2017年4月6日木曜日

遺跡なんて好きじゃなかったけれど

マルセイユに泊まるというと、
ちょっと知っているひとからは
いいなぁ、エクス・アン・プロヴァンスはきれいだよ〜。
ニースもカンヌも近いし。あ、モナコも素敵だよ〜。
などと言われたものです。

そうかね、とガイドブックを見てみると
それらどの街にも興味が湧かなくて、びっくりしました。
わたしが行きたいなぁ、と思うのは
どうやら、とくに見るべきものもなさそうだけれど
なんとなくよさそうな感じの街。
いや、街というより村!

でもきょうはアルルに行ってきました!
アルルは古代遺跡で有名な、南フランスでは大きな街のひとつです。
でも目的は、遺跡ではなくて、骨董市。
知人がきのうメールで、
毎月第一水曜には、アルルの郵便局の近くで
骨董市があるよ、と知らせてくれたのです。

骨董市巡りは
わたしのいくつかある趣味のひとつです。
時差ぼけで4時に目が覚めてしまったのをこれ幸いと、
さっそくちょこっと調べて
9時すぎの電車に乗りました。

電車は遅れるよ、と教わっていたから
どうせ遅れているだろう、と高をくくっていたら
始発のせいか、定刻通り。

あんまり考えずに座ったら海側じゃなくて、土地側で、
ぶどう畑や牧場、菜の花畑などを横目に揺られること1時間ほどで
着きました、アルル。
ローマ遺跡で有名だから、
どでかい石の古いやつが、どどーんとあるんでしょ、
あんまり興味ないなぁ、などと思っていたのですが
なんとまぁ、こじんまりとした、かわいらしい街なのです。

遺跡もね、思っていたより威圧感ないというか、
街になじんでいて、あるのが当たり前、みたいな顔をしている。

アルルの古代闘技場。現在は春から夏に闘牛が行われているようです。


そして骨董市。出ているお店は多くないけれど、
パリなんかより、うーんと安くて、
お店のひとが優しい! 
フランス語で(笑)すごく熱心に教えてくれて、
たのしく、いいお買い物ができました。

犬連れのお客さんなどもいて、街で暮らしているひとが
気軽にお買い物している姿が印象的でした。


お昼ごはんは、Le 16という、ちょっとしたビストロに入り
ロゼを飲んでいい気分に。

中はいっぱいだったからテラスに座ったのだけれど
これがいけなかった(笑)。
食後のエスプレッソが出てくるころに
目の前の道路で工事がはじまってしまったのです。
がががががっ、とものすごい音と振動で
ほかのお客さんとも苦笑い。


左側の茶色いのはごはん。今回の旅でここのごはんが、いちばん美味しかったかも。

頭が痛くなってしまい、風も強かったから、
どこかに入りたくて、レアチュー美術館に。
ここは15世紀に建てられた修道院跡らしいのだけれど
ほとんどお客さんもいないから、おそろしかったです。
石造りの薄暗い建物の中で、宗教画とか見るの。
そしてなんと停電して、こわいよ〜こわいよ〜と思いながら
それでも離れがたくて、ぜんぶ見て回りました。

夜が長いのでアルルでもう少しゆっくりしたかったのだけれど、
レストランはたくさんあってもカフェがあんまりね。
座る場所もないし、フリーwifiもないし、
風も強いしで、3時半の電車でマルセイユに戻ってきました。

フランスの鉄道はくせもので、
切符を買うでしょ、そうすると改札はないんです。
改札はなくて、自分で改札機で打刻しないといけないの。
これをしないと、検札で(毎回、必ず来るらしい)
罰金をとられるのだとか。
でもアルルからの帰り、うっかり忘れてしまいました。
が、検札にきた駅員さん、いいよいいよ、と優しかったです。

マルセイユに戻ったら雨! 
折りたたみ傘をさしましたが
傘をさしているのは、わたしと子どもくらい。
おとなは、平気で濡れていました。

きのうは時差ぼけで21時ころ寝てしまったけれど
きょうはもう少し起きていられそう。
心地よい疲労感とワインのおかげで、
ゆっくり寝られそうです。